記念すべき札幌同窓会報告の第一回である。全部で見開き5ページであるなどコンパクトなものであった。同窓会記事、会員の異動、特別報告について記されている。同窓会卒業生住所及び就職表には第一~四期卒業生が記されており、第二期卒業生には内村鑑三や南鷹次郎の名前も記されている。
札幌農学校は1876年(明治9年)に開校し、8月14日に専門科(本科、修学年限4年)の開業式があり、授業を開始、北大の歴史がここから始まった。
それから11年後の1887年4月9日に札幌偕楽亭で本同窓会の設立相談会が在札卒業生16名により開催され、5月20日に札幌豊平館において第一回同窓会が開かれた。
同窓会の会則が定められ、同窓会報告は年4回刊行を予定された。本報告は記念すべき第一回目である。 同窓会は文字通りに同窓の会員の集まりであり、『第一回報告』には会員の動向が克明に報告されており、往時の活動を彷彿とさせて興味深い。
なじみ深い会員の動向として、佐藤昌介(札幌農学校教授)、南鷹次郎(同助教)、広井勇(同助教)、町村金弥(北海道庁技手)、志賀重昂(『日本風景論』著者、東京在住)、また留学組として、内村鑑造(米国)、宮部金吾(同)、太田(新渡戸)稲造(ドイツ)などが紹介されている。
南鷹次郎等3名の幹事のもとで本同窓会の会長選挙を実施するので、投票を幹事宛に送付してほしい旨が報告された。本会の活動資金としては会員からの維持費金壱円が充てられている。