札幌本部 2023.06.01 今年も無事に羊が産まれる 5月上旬、北大農場の羊を見学させていただき、畜産科学科畜牧体系学研究室で羊や牛の世話をしている修士1年の小澤華琳さんにお話を伺いました。 【世話をしている牛と小澤さん】 まず、北大農場の牛舎付近の羊小屋で、今春産まれた仔羊たちの様子を見学させていただきました。 【生後約1か月の仔羊たち】 ―この羊たちは産まれてどれくらいなのですか?― 「この羊たちは、出生約1か月頃の仔羊たちです。例年4月での出産を目指しており、前年度11月から交配を開始します(羊の妊娠期間は約150日間)。産まれたばかりの仔羊たちは、まだ母親からの乳で飼育する必要があるため、この羊小屋(上の写真)の中で約半年間育てています。」 【哺乳ボトルからミルク(代用乳)を与えられる仔羊】 【クリープフィーディング。柵を抜けられる大きさの仔羊のみ、柵内の大麦を食べることができる】 ―この柵は何ですか?― 「この柵はクリープフィーディングと呼ばれる給餌に用いる柵で、親羊たちがくぐれないような間隔となっています。内側の飼槽(写真奥)には大麦が入っており、柵をくぐれる仔羊だけに大麦を与えることができます」 大麦は栄養価が高く、固形飼料に慣れさせ、仔牛の離乳をスムーズにさせるため、この時期に与えます。 【母羊の後ろをついて歩く仔羊たち】 ―毎年何頭ほど産まれるのですか?― 「畜牧体系学研究室では毎年約30頭の羊を生産します。10頭の雌は繁殖用として、次年度以降の育成に回します。残りの雌と雄は肥育したのち、年末から年明けに、生後約6カ月齢で出荷しラム肉にします」 【初夏の羊小屋内部。仔羊がずいぶん大きく成長している。体の大きい成羊が柵で区切られているが、仔羊たちは小屋全体を歩き回っている】 ―残りの羊たちはどこにいるのでしょうか?― 「牛の放牧地に草が生え始めるタイミングで、放牧地の外周に移動させます。放牧地の外周を5区画に分け、順番に羊たちを移動させていきます。羊は意外にもグルメで、自分の好きな草は先に食べきって、長く伸びた草は食べなくなってしまいます。そのため、牧草が伸びすぎる前に羊に食べてもらえるように、順繰りに牧草地を移動させる必要があります」 【小屋の外へと移動した仔羊たち】 【昨年度より育成している若い雌羊たち。左には牧草地を分けるための柵が見える。今年の秋から交配をかける予定】 【左右で食べられ方が異なる様子。左は好んで食べられており、禿げかかっている】 ※畜産科学科畜牧体系学研究室および北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの許可を得て撮影しました。 (さっぽろ農学校リポーター・林芳弘=D3、写真も)